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活動報告 - 俳句同好会カテゴリのエントリ


◆句会は原則として毎月第2土曜日の午後1時から3時40分まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。今回も新しい方の投句がありました。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。


◆毎回、その月の作品を紹介いたします。俵木陶光選。
    

・10月の作品の紹介
・10月の兼題は、「秋の風」・当季雑詠で計3句です。




俵木 陶光

・誰もいない象のステージ秋の風


岡村 一道
・走り蕎麦老舗といへど音高く

芳村 翡翠
・男ゐて一人は無口秋の風

片山 朝陽 
・秋風や阿修羅の瞳いよよ澄み

安西 円覚
 ・万葉を風が捲(めく) るや居待月

峯岸 まこと
 
・観音のゆびおとがひに秋の風

長岡 帰山 
・思はざる山よりぬっと望の月

中邑 雅子
 
・秋立つや新規講座の通知来る

小林 美絵子
・秋風にふかっと含む薄茶かな

坂井 百合子
・模様替えしてみたくなる秋の風

五井 夢
 
・やせ烏濡れ羽青き吾秋の風

浦田 久
 
・棚田にも煙たなびく秋の風


堀 秀堂
 
・秋の風戦国時代の城巡り


関口 静安

・秋風に乗って飛べ飛べグライダー


山下 天真

・晴ればれと検査結果や秋の風


村林 小枝子

・還暦の空手一筋柿実る


寺崎 由岐子
 
・縁の下淋しくないかこおろぎよ

  
                                   
                                    
◆<私の一句>

 雨を呼ぶ投込寺の濃紫陽花 
    俵木 陶光 

 新宿の靖国通りに面した所に成覚寺という古い寺がある。創建は文禄三年(1594年)で、まだ片田舎の寺に過ぎなかった。慶長八年(1603年)徳川の世になると江戸が天下の中心となり、住人も増えて来た。また江戸五街道の内、甲州街道の第一番目の宿場が下高井戸辺でかなり江戸の中心部より遠かった。また下級武士達が浅草、吉原に出かけて行くのも大変であったことに目をつけた浅草辺の商人達がこの辺に遊郭など建てたら一儲できると踏んで、幕府の上層部に大枚の賄賂を積み新しい宿場(内藤新宿)を設けることを実現させた。
 それから遊郭や宿が建ちはじめ、遊女や非公認の飯(めし)盛女が増えて来た。身売されて来た彼女達の停年?は27才。酷使され、それ以前に亡くなると、着ている衣服も剥がされ筵(むしろ)などに包まれてこの成覚寺に担ぎ込まれて来た。長年に亘りその数2千人ともそれ以上とも。
 この寺は道路から石段を下りた所に本堂や墓地があり、如何にも投込寺と言った感じだ。その一角に「子供合埋(ごうまい)碑」と彫られた墓碑が立っている。子供とは飯盛女のことで、雇主と親子の関係にさせられたのである。この石碑も明治に近くなってから建てることになった。
 成覚寺の隣り正受院という寺があり、奪衣婆(だつえば)が祀ってある。三途の川を渡る者の衣服を剥ぎとる婆であるが、咳止めの霊力があるということから大ブレークした不思議な寺。
 これらの寺の裏側に回ると大きな太宗寺があり内藤家の菩提寺となっている。新宿御苑は内藤家の下屋敷があった所で、明治になると新政府に帰属し、第二次世界大戦の空襲で建物などは焼失し、現在は大名庭苑として玉藻池といくつかの石灯籠だけがその面影を止めている。
      紫陽花の雨を貰ひし玉藻池  陶光

                                                                                                                                                                                                                                          

 ◆次回は、吟行と定例句会を行います。
・吟 行: 11月12日(土)午前10時30分 
      JR西国分寺駅改札口 集合
      <史跡武蔵国分寺跡を散策>

・定例句会:同日午後1時30分より午後5時頃まで
      西国分寺駅南口前「いずみホール和室」にて     
      定例句会兼題は
      「秋(後半期を中心に)」・当季雑詠で計3句
 兼題は11月5日(土)までに郵送して下さい。(陶光宛)
 

◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(円覚)まで
                 TEL 090-3145-2654

◆文責・俳句同好会会長 俵木 敏光(陶光)

◆句会は原則として毎月第2土曜日の午後1時から3時40分まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。今回も新しい方の投句がありました。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。


◆毎回、その月の作品を紹介いたします。俵木陶光選。
    

・9月の作品の紹介
・9月の兼題は、「残暑・秋暑し」・当季雑詠で計4句です。




俵木 陶光

・自転車のライト一すじ虫の原


岡村 一道
・軽鳥
(かる)の子の無事を確認解散す

芳村 翡翠
・秋暑し色の褪せたる帽子かな

峯岸 まこと 
・狩衣でコキリコを舞ふ夏座敷

片山 朝陽
 ・こおろぎや遥か太古の笛の音か

安西 円覚 
・秋暑し乳房にタトウ有る女

長岡 帰山 
・休み田の亀裂の深き残暑かな

中邑 雅子
 
・秋暑し咲き継ぐ花の色濃くて

小林 美絵子
・ねえバッタ空飛びたいと思わない

坂井 百合子
・帰りきて皆押し黙る残暑かな

五井 夢
 
・影纏ふ残暑に響くハイヒール

浦田 久
 
・風立ちて頬を撫でるも秋暑し


堀 秀堂
 
・雲の渦残暑の雨や降り過ぎる
[size=lar

山下 天真[/size]
・間のびする烏一声残暑かな


村林 小枝子

・吹く風に見上げる空は鰯雲


上村 凱山

・がぶがぶと水呑む馬の秋暑し


寺崎 由岐子
 
・子らはしゃぐ声の遠のく残暑かな

  
                                   
                                    
◆<吟行>

 小江戸 川越 
    俵木 陶光 

 最近テレビで「小江戸 川越」を見た。以前、帰山さん、元会員の郁子さんと川越へ出かけたことがあった。
 まず喜多院を目指した。駅から15分、途中道端の一区画に寛永15年の大火で焼き出され、帰るところを失ったと思える石像群を見た。特に供養されている様も見えなかった。喜多院は北院で中院、南院もあり、南院は廃院となっている。
    それぞれの向きに黴(かび)ある石地蔵  陶光
 喜多院は慈覚大師が無量寿寺として開いたのが始まりで、その後天海僧上の着任により中院は寺域外に移され、喜多院から寺領30石を配当されたと言うから、さすが天海というべきか、中院の人達の心中や如何に。今の中院の庭は見事であった。
    中院に梯子の見えて松手入  帰山
次に仙波東照宮に寄る。徳川家康70歳で他界し久能山に葬られ翌年日光に改葬される途上、川越に立ち寄り天海僧上により4日間に亘り大法要が営まれた。これまた天海。
売店で団子などを食べてひと休み。
    奪衣婆(だつえば)に脱がされしまま蛇の皮  帰山
    濃紫陽花玩具の如き太鼓橋  陶光
 寛永15年の大火で喜多院も焼失したが、徳川家光は家光誕生の間、春日局の化粧の間などを移築し客殿などに当てている。
    金色の阿弥陀如来や梅雨座敷  陶光
    喜多院の廊下のきしみ梅曇り  郁子
 境内に五百羅漢が祀られている。中央に釈迦如来、阿弥陀如来などの大きな石像を囲み、多くの 羅漢像が思い思いのポーズで屈託のない表情をしている。酒を酌み交わしている者など庶民の生活唄のある者など笑い声が聞こえて来るようであった。
    羅漢みな福耳なりし木下闇  帰山
    といふ訳さなどと羅漢に風薫る  陶光
 泥棒橋を渡り外界へ出た。高さ27メートルの大銀杏、蔵造りの街並、時の鐘、菓子屋横丁などに立ち寄り、市役所の目の前「百丈」という手打そば屋に寄る。2時を廻っていたのでさっそく酒を注文した。
    梅雨休み稲荷の銀杏青々と  郁子
    蕎麦すする箸の高さに夏の風  帰山
    ふと見れば白雨来てをり句座の窓  陶光
 帰りは駅までタクシーに乗り別れを惜しんだ。


                                                                                                                                                                                                                                                                                  

 ◆次回の定例句会は、10月8日(土)午後1時〜3時40分
               於 久我山会館   
 兼題は「秋の風」・当季雑詠で計3句です。
 

◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(円覚)まで
                 TEL 090-3145-2654

◆文責・俳句同好会会長 俵木 敏光(陶光)

◆句会は原則として毎月第2土曜日の午後1時から3時40分まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。今回も新しい方の投句がありました。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。


◆毎回、その月の作品を紹介いたします。俵木陶光選。
    

・8月の作品の紹介
・8月の兼題は、「蝉(夏・秋)」・当季雑詠で計4句です。




俵木 陶光

・蝉時雨鎮守の森のしんとして


岡村 一道
・不意に来て蝉の話も聞けと鳴く

芳村 翡翠
・禅寺の経に加はる蝉の声

安西 円覚 
・ブルースを聞き足を組む花カンナ

峯岸 まこと
 ・渓流に竿先撓ひ蝉時雨

片山 朝陽 
・蝉時雨今も玉音胸にあり

長岡 帰山 
・蝉生まる孤独の殻を脱ぎ捨てて

中邑 雅子
 
・血圧計の数値点滅蝉しぐれ

小林 美絵子
・蝉時雨一緒に泣こうかと思う

坂井 百合子
・蝉時雨飯はまだかと子ら戻り

五井 夢
 
・遠雷のうねりや蝉の声静か

浦田 久
 
・蝉時雨森の図書館囲みをり


堀 秀堂
 
・右の耳左の耳か蝉時雨


関口 静安

・奔放に飛ぶ蝶のごと歩みけり


山下 天真

・一葉に蝉殻遺し旅立ちぬ


村林 小枝子

・頭の中に広がってゆく蝉時雨


上村 凱山

・かなかなや救急車の音遠去かる


佐々木 君代
 
・一匹が鳴けばたちまち蝉の森

  
                                   
                                    
◆<私の一句>

 郭公や池の底より聞こえ来し 
    安西 円覚 

 6月26日(日)、西東京白門会の人達と志賀高原に向けて一泊の旅に出かけた。途中、中之条町文化財旧大岩学校を見学。そこに若山牧水の歌碑があった。校庭で遊ぶ子供たちを見て詠んだ一首
  人過ぐと生徒等はみな走せ寄りて垣よりぞ見る学校の庭
 山道を下り初めて見る野反湖に到着。山に囲まれこれぞ自然の中という、静かな静かな印象の湖であった。ここのところの少雨の影響か水面が低下してはいたが。ノゾリキスゲ、駒草が咲き始めていた。
      駒草の咲ける湖静かなり
野反湖から日本国道最高点(2172m)の展望台に着く。眺望は良く遠くは富士山、赤城山、男体山、浅間山まで望めた。鶯が鳴いている。。気温が何と9℃。薄手のジャンパーを持ってきて良かった。田ノ原湿原に。ワタスゲが咲いている木道を散策し木戸池に着く。自然のままの無垢の池の周りでは郭公と鶯が鳴いていた。
 二日目の朝、信州大学志賀自然教育園に入る。ここには志賀高原で3番目に大きな長池がある。ここでも雨不足で水面が低下している。多くの倒木が池のほとりに転がっていた。このあたり、池とか沼が数カ所点在している。縄文時代の動植物の剥製展示展(月ノ輪熊、熊鷹、カモシカ等)を見た。熊が、最近出没したようだ。足跡の写真があった。
 一沼に着く。山の沼の睡蓮の白い花がこの世のものとは思われぬほどの美しさであり蛙も鳴いていた。
     睡蓮やまくなぎ手もて払ひつつ
 そこから約1時間、雷滝に着く。名前の通り、滝音が雷のごとく大きい。落差30m、川幅29m。別名「裏見の滝」滝の裏側から滝を見ることができる。落ちてくる水量が物凄い。よくこんな水量が絶え間なく落ち続けているもんだと思った。久しぶりに滝らしい滝を見た。
     滝の裏わが顔に水はじけをり
ここより1時間で高山村のそば屋へ。昼食後、関越道を帰路についた。
小生の生まれた中野市はこの地域に隣接している。 
こんなに信州の山は木が多く緑が多いことに改めて感じる旅であった。

◆次回の定例句会は、9月10日(土)午後1時〜3時40分
               於 久我山会館   
 兼題は「残暑・秋暑し」・当季雑詠で計4句(欠席投句者は3句)です。

◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(円覚)まで
                 TEL 090-3145-2654

◆文責・俳句同好会会長 俵木 敏光(陶光)

◆句会は原則として毎月第2土曜日の午後1時から3時40分まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。今回も新しい方の投句がありました。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。


◆毎回、その月の作品を紹介いたします。俵木陶光選。
    

・7月の作品の紹介
・7月の兼題は、「南風」・当季雑詠で計4句です。




俵木 陶光

・白雲を割って群燕
(ぐんえん)宙返り

岡村 一道
・白南風や嬰児
(あかご)が握る掌に未来

芳村 翡翠
・尾根を行く吾は帆船か南吹く

片山 朝陽 
・黒南風や門固く閉ず武家屋敷

安西 円覚 
・南風雲の流るる潦(にわたずみ)

峯岸 まこと
 ・浮球の赤旗靡く大南風

長岡 帰山 
・風鈴の音の一つを持ち帰る

中邑 雅子
 
・雲走り鳥の声散る南風

小林 美絵子
・木星を映す探査機缶ビール

坂井 百合子
・白南風や少年たちの駆けてゆく

五井 夢
 
・薄衣南風の数だけ身の軽さ

浦田 久
 
・どなたです思わず返す大南風


堀 秀堂
 
・南風の沖釣り舟の竿光る


山下 天真

・様々の音して閑か南風


村林 小枝子

・つば広く白き帽子や南風


上村 凱山

・大南風タンカー船の錆こぼす


佐々木 君代
 
・南風にたちはだかって相撲の子

  
                                   
◆<私の一句>
  雷鳴や走れや走れ九段坂
      俵木 陶光 

  大粒の雨が当たり始めてきた。坂道を走る以外に手はなかった。
 靖国神社から俎板橋に至る九段坂は江戸の初めは更に急坂であった。坂の途中に少しずつ段を設けて勾配を調節し、それが九段に及んだところからこう言われていた。大八車もこの坂を上るのに難儀をしたので坂下に「立ん棒」がいて一文で車の後押をしていたようだ。
 江戸時代に人が住みはじめると下町の川や橋、山の手の坂の名前は必要な目印となった。人が増えるに従って坂も多くなる。一番多い坂は新坂、その次が富士見坂、更に稲荷坂、暗闇坂、芥の収集がない当時は勝手にゴミを捨てた芥坂(後に五味坂となった所も)、武家屋敷の名前がついた坂の名前なども歴史を感じさせるものが多く残っている。
 同じ場所でも直線の男坂、斜めに曲がった女坂もある。御茶ノ水のアテネフランセの通りにある女坂と男坂、曲垣平九郎の芝愛宕神社、湯島天神、高尾山の中にもある。
 湯島通れば思い出すお蔦・力の物語りで一世を風靡した湯島天神も今は合格祈願の絵馬が積み上げられている。

     秋天へ急よ天神男坂  川津 鱒子
     天神の梅ぽつぽつと女坂   陶光



◆次回の定例句会は、8月13日(土)午後1時〜3時40分
               於 高井戸地域区民センター   
 兼題は「蝉」(夏・秋とも)・当季雑詠で計4句(欠席投句者は3句)です。

◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(円覚)まで
                 TEL 090-3145-2654

◆文責・俳句同好会会長 俵木 敏光(陶光)

◆句会は原則として毎月第2土曜日の午後1時から3時40分まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。今回も新しい方の投句がありました。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。


◆毎回、その月の作品を紹介いたします。俵木陶光選。
    

・6月の作品の紹介
・6月の兼題は、「紫陽花」・当季雑詠で計4句です。




長岡 帰山

・行水の牛の貫禄うごかざる


中邑 雅子
・ここよりはあぢさゐ街道雨もよひ

堀 秀堂 
・紫陽花の小雨となりしホームかな

峯岸 まこと 
・箱根路のスイッチバックや濃紫陽花

村林 小枝子 
・くちなしのきわ立つ白さ雨上り

山下 天真
 ・賑わいを離れて路地の額紫陽花

芳村 翡翠 
・上州の限界集落濃紫陽花

佐々木 君代
 
・顔中をくちばしにして燕の子

関口 静安
大清水木道(もくどう)歩き水芭蕉

安西 円覚
・手花火に一年ぶりの燐寸かな

浦田 久
 
・伊豆下田山を彩る七変化

岡村 一道
 
・泣き虫の児に還るなり目高飼ふ


片山 朝陽
 
・黒揚羽三段跳びに消え去りぬ


五井 夢

・紫陽花や男波
(おなみ)女波のアンブレラ

小林 美絵子
 
・衣替え風の匂いの変わる朝

坂井 百合子
・ひっそりと古来のままに額の花


俵木 陶光
 
・雨を呼ぶ投込寺の濃紫陽花                                     




◆<私の一句>
  上州の限界集落濃紫陽花
      芳村 翡翠 

  
 裏木戸の片隅にいつも咲く紫陽花は、昨年思い切った枝の剪定を行ったせいか花付きがよく今年も大輪の花を咲かせてくれました。梅雨の雨を含んで重々しく花を揺らせている様は見事です。
 ところで、花名のアジサイの語源は「藍色が集まったもの」を意味する「あづさい(集真藍)」からきたものだそうです。江戸時代に長崎の出島に滞在して医療と博物研究に従事したシーボルトは、愛する「お滝さん」にちなみ「オタクサ」という名をアジサイにつけました。花言葉の「移り気」はアジサイの花の色が開花後に変化することからきています。
 さて私の句ですが、「上州」を上五にもってきたのは、上州といわれていた土地にあった集落共同体の崩壊を描きたかったからです。過疎化が進み、打ち捨てられ、荒廃した空き家だけが残っている、いわゆる「限界集落」の情景を詠ったものです。ひとが去ってしまった空虚な集落の跡に、紫陽花の華麗な花だけが咲き残っている。
 社会と自然の係わりの変転を表現しました。唐の詩人が詠ったように、「年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず」毎年毎年、花は変わることなく咲くが、人の世は変わってゆく。
 「上州の限界集落」と妖艶な「紫陽花」との対比はいかがでしたか。最近、俳句の世界にも社会的な事象を詠んだ句が多く見受けられます。マスコミの伝える情報が、我々の日常生活に、遥かかなたで起こった事象を身近にひきよせます。
 従来の「花鳥諷詠」という自然そのものを詠むだけの句ではなく人と事象とのかかわりを詠む句が見られるようになったわけです。
最近の朝日俳壇で拾ってみても、こんな句がありました。

・シナリオのなき大地震牡丹散る
・道義なき話きき飽き五月尽
・薫風の永遠にぞ在れや吾は九条
・農捨し兄に最後の麦の秋    などなど



◆次回の定例句会は、7月9日(土)午後1時〜3時40分
               於 高井戸地域区民センター   
 兼題は「南風(みなみ・なんぷう・みなみかぜ)」・当季雑詠で計4句(欠席投句者は3句)です。

◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(円覚)まで
                 TEL 090-3145-2654

◆文責・俳句同好会会長 俵木 敏光(陶光)
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