活動報告 - 俳句同好会カテゴリのエントリ
◆句会は原則として毎月第二土曜日の午後1時半から4時位まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。
◆毎回、その月の作品を紹介いたします。
・4月の作品の紹介
・4月の兼題は、「辛夷(こぶし)」・「浅蜊」です。
俵木 陶光
・辛夷咲く多摩の校庭鳥の声
岡村 一道
・辛夷咲く鎌倉海道古武士めく
長岡 帰山
・海底も富士の裾野や浅蜊掻く
堀 秀堂
・辛夷咲く筧(かけい)の水の音弾む
芳村 翡翠
・天に向けそそる白塔花辛夷
中邑 雅子
・ふるさとの空に続くや花辛夷
本間 邦子
・風吹けば辛夷の花みな大笑い
小林 美絵子
・浅蜊ご飯少し焦げてる玉子焼
五井 夢
・風と去る重きひとひら辛夷今
安西 円覚
・花辛夷桟橋に鳴るドラの音
片山 朝陽
・ふるさとの夕餉の味や浅蜊汁
峯岸 まこと
・神苑の地に触るるかに紅枝垂
澤田 かつみ
・せせらぎや空ひろがりて花辛夷
浦田 久
・花辛夷いのちの躍動糧にして
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山口 月山
・潮引くや動かぬままの浅蜊舟
◆ 長岡帰山さん 句集『観音』の紹介
長岡帰山さんが第四句集『観音』を刊行されました。全308句。
天金入りで、14ページに亘る賞状の写真なども。(定価・本体5000円+税)
別冊として、神野沙希さんの栞として15句鑑賞付き。そのうち四季2句ずつ下記の通り掲載します。
・羯諦羯諦波羅僧羯諦猫の恋
・観梅のひと仰向けに通りけり
・円虹を仰ぐ今生の出口とし
・さくらんぼ嗚呼さくらんぼ孫が欲し
・月光に濁世のまなこ曝しけり
・帰る山わが名に負ふも雁のこゑ
・猟銃の乱射の煙はくもくれん
・冬夕焼そこまでの気がどこまでも
今後、更なる飛躍を祈ります。
なお、長岡帰山さんの連絡先は下記の通り。
電話 (03)3398−4481
◆次回の句会は、5月11日(土)1時半より4時半
会場は、高井戸地域区民センターです。
兼題は、「愛鳥週間」・「牡丹」です。
◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(俳句会事務局長)まで
TEL 090−3145−2654
◆文責・俳句同好会会長 俵木 敏光(陶光)
◆句会は原則として毎月第二土曜日の午後1時半から4時位まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。
◆毎回、その月の作品を紹介いたします。
・3月の作品の紹介
・3月の兼題は、「春場所」・「春の雪」です。
俵木 陶光
・春場所や今も大鵬手に賜杯
山口 月山
・春場所や難波の空へふれ太鼓
岡村 一道
・春の雪東京は坂多き街
長岡 帰山
・かりそめのわが影を置く春の雪
峯岸 まこと
・湯の街の濡れて融けゆく春の雪
安西 円覚
・ひとことも発せず消えし春の雪
片山 朝陽
・石垣のすき間に消えし春の雪
五井 夢
・現世(うつつよ)はきまぐれ心春の雪
中邑 雅子
・降り積もる結願(けちがん)の日の春の雪
小林 美絵子
・風光るホームに電車待つ五分
芳村 翡翠
・春の雪昏れゆく海に溶け入りぬ
肥田 浩一
・水墨の春の雪降る立石寺
堀 秀堂
・春雪の戯れし夜の明けにけり
浦田 久
・陽光に乱反射する春の雪
◆ 『郷愁の詩人 与謝 蕪村』 を読んで
(萩原 朔太郎著)昭和11年刊
安西 円覚
2月の本稿で陶光先生が「蕪村」を取り上げられましたので「蕪村」入門書として最適と言われる本書を読んでみました。
遅き日のつもりて遠き昔かな 蕪村
(春の日の暮れるまで遅々としている日永(ひなが)の日々が、幾重にも積もって遠き昔に繋がっている)
日本近代詩の父といわれる萩原朔太郎はこの句を、蕪村の代表俳句として挙げ、「蕪村のポエジー(詩)の実体は、時間の遠い彼岸に実在している彼の魂の故郷に対する《郷愁》であり、昔々しきりに思ふ子守唄の哀切な思慕であった。」と、一貫してこの言葉をリフレインし、また「青春性・浪漫性・洋画風」などの語が文章のあちこちに散りばめられています。
枯淡とか寂び、風流という一般的特色と考えられている俳句を毛嫌いしていた朔太郎にとって唯一の例外として蕪村の俳句だけは好きでありました。そこに明治以後の詩壇における欧風の若い詩とも情趣に共通するものを感じ取っていたからです。
一方、彼は、正岡子規の蕪村論に強烈に反論をしています。子規とその門下生の根岸派一派の俳人は自然をその「あるがままの印象」で単に平面的にスケッチする「写生主義」を当時唱えていた。そして蕪村こそがかれらの写生主義にマッチした規範的俳人とみなされていた。朔太郎は、蕪村が単なる写生主義者ではなくその句に情感が深く描かれ、郷愁が痛切にうたわれている真の叙情詩人であると主張する。
このように本書では朔太郎は新しい詩人の鑑賞眼で古典俳句のリリック(抒情詩)の真の詩的精神を見直そうとしたのです。
蕪村に関しては小生は”菜の花や月は東に日は西に”におけるように、色彩感覚がすぐれている句を作る、また画家の眼から作句してる人だな〜と十代の頃から感じていました。最近、近代・現代の俳句ばかり目にしていましたが、今回古典俳句に関するこの評論を読みまして古典俳句をより身近に感じ、もっともっと見直さなければと感じています。
◆次回の句会は、4月13日(土)1時半より4時半
会場は、久我山会館です。
兼題は、「浅蜊」・「辛夷(こぶし)」です。
◆句会についてのお問い合わせ先: 片山 惠夫(俳句会事務局長)まで
TEL 090−8773−4881
◆文責・俳句同好会会長 俵木 敏光(陶光)
◆句会は原則として毎月第二土曜日の午後1時半から4時位まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。
◆毎回、その月の作品を紹介いたします。
・2月の作品の紹介
・2月の兼題は、「余寒」・「バレンタインデー」です。
俵木 陶光
・救急車見送る後の余寒かな
山口 月山
・八十を一つ過ぎたる余寒かな
岡村 一道
・心電図乱る余寒や美人医師
中邑 雅子
・写経せし手本の上の余寒かな
長岡 帰山
・生きるにも死ぬにも力霜柱
峯岸 まこと
・僧堂の魚板ささくれ余寒かな
芳村 翡翠
・なにもなしバレンタインの日も終はり
片山 朝陽
・メール終へ返事待つ間の余寒かな
安西 円覚
・しんしんと余寒の胸に師の送辞
本間 邦子
・病院のベッドの下の余寒かな
堀 秀堂
・スコップを求めそこねて雪厚し
五井 夢
・バレンタイン色即是空の春の虹
澤田 かつみ
・バレンタインデーかって美少年たりし日も
肥田 浩一
・余寒なほ膝のあたりに居座る気
◆ 蕪村のこと
俵木 陶光
芭蕉、蕪村、一茶と江戸の3大俳人を並べてみると句柄のやわらかな蕪村が好きである。また、画家でもあり、島崎藤村に先行する近代詩人でもあった。
<俳句ー3句程>
・夏河を越すうれしさよ手に草履
昨日行ったところの句と言っていい程、これぞ臨場感ある吟行
句。
・鳥羽殿へ五六騎いそぐ野分かな
歴史の空想句であるが保元・平治の絵巻物を見ているようである。
野分の中を鳥羽帝の離宮へ疾走してゆく蹄の音が聞えて来る。
・春の海終日(ひねもす)のたりのたりかな
俗語的な擬態語を使って海の情景とゆったりした気分が伝わって来
る。
<画家として>
蕪村の画の中で小品(17.7cm四方)ながら「十宜帖」4枚が国宝と
なっている(同時に池の大雅の「十便画帖」4枚も国宝)。その他「夜
色楼台図」「鳶・鴉図」「奥の細道屏風」など蕪村のすばらしさを感じさせる。
<自由詩とし>
近代詩の、島崎藤村の前に蕪村のこんな詩があった。
<北寿老仙をいたむ>(注:一部漢字・かなに書き換え)
君あしたに去りぬ ゆうべのこころ千々に
何ぞはるかなる
君を思ふて岡の辺に行きつ遊ぶ
岡の辺何ぞかくかなしき
たんぽぽの黄に なづなの白う咲きたる
見る人ぞなき
雉子のあるか ひたなきに鳴くを聞かば
友ありき 河をへだてて住みにき 今日は
ほろろとも鳴かぬ
(以下略)
◆次回の句会は、3月9日(土)1時半より4時半
会場は、高井戸地域区民センターです。
兼題は、「春場所」・「春の雪」です。
◆句会についてのお問い合わせ先: 片山 惠夫(俳句会事務局長)まで
TEL 090−8773−4881
◆文責・俳句同好会会長 俵木 敏光(陶光)
◆句会は原則として毎月第二土曜日の午後1時半から4時位まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。
◆毎回、その月の作品を紹介いたします。
・1月の作品の紹介
・1月の兼題は、「初鴉」・「正月全般」です。
俵木 陶光
・初鴉谺となりて神の声
山口 月山
・元旦や雀の声の透き通り
岡村 一道
・夢の字の書き順忘る寝正月
長岡 帰山
・初烏富士山頂の日の出かな
峯岸 まこと
・初鴉波音寄する船溜
芳村 翡翠
・元日や上々吉の空明くる
片山 朝陽
・なかんずく今朝のうれしさ初鴉
安西 円覚
・黒豆ののどを通るや初鴉
中邑 雅子
・初市の袢纏の藍にほひ立つ
肥田 浩一
・吉凶のいづれか屋根に初鴉
浦田 久
・故郷の吉報のせて年賀状
堀 秀堂
・初鴉高圧線より朝日受け
澤田 かつみ
・教会の屋根の一声初鴉
五井 夢
・風吼ゆる十字を切りて初鴉
◆ 私の一句
「昔男ありけり身づくろふ都鳥」 俵木 陶光
隅田川七福神のパンフレットを見て暮れのうちに出かけてみることにした。
浅草から東武伊勢崎線の鐘ヶ淵で下車した。この辺まで来ると東京も下町そのものといった感じがする。
多聞寺の次に戻って木母寺(もっぽじ)に出た。寺の入口に以前「梅若塚参拝の方はご自由にお入り下さい。塀のインタホンお押しになるには及びません」と張紙があった。
たづね来て問はばこたえよ都鳥
すみだ河原の露に消えぬと
これは人買いにさらわれて隅田川河畔で病死したと言われている梅若丸12才の辞世の歌とされている。
各段に多く「昔、男ありけり・・・」の書き出しで始まっている『伊勢物語』で在原業平(ありわらのなりひら)はこう詠んでいる。
名にし負はばいざ言問はむ都鳥
わが思ふ人はありやなしやと
この都鳥は百合鴎とは違う。今の東京都の県鳥は嘴の黄色い百合鴎で、元々の都鳥は嘴は赤く、シギや千鳥の仲間である。昔の人は言葉「みやこどり」そのものに恋したのである。
◆次回の句会は、2月9日(土)1時半より4時半
会場は、久我山会館です。
兼題は、余寒・バレンタインデー です。
◆句会についてのお問い合わせ先: 片山 惠夫(俳句会事務局長)まで
TEL 090−8773−4881
◆文責・俳句同好会会長 俵木 敏光(陶光)
◆句会は原則として毎月第二土曜日の午後1時半から4時位まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。
◆毎回、その月の作品を紹介いたします。
・12月の作品の紹介
・12月の兼題は、「落葉」・「セーター」です。
俵木 陶光
・箒もて落葉追ひかけ追ひかけて
山口 月山
・朴落葉ひときは高きところより
岡村 一道
・勘三郎死す露天の風呂の浮き落葉
安西 円覚
・セーターを着る一瞬の深き闇
片山 朝陽
・柿落葉赤絵そのまま散りにけり
中邑 雅子
・脱ぎしままの形やセーターひとりごつ
肥田 浩一
・落葉蹴る蹴って虚しさ深まりぬ
芳村 翡翠
・落葉掻く想ふ還らぬ人のこと
本間 邦子
・一日の始まりとなる落葉掃き
澤田 かつみ
・山深き落葉時雨の古刹かな
浦田 久
・さくさくと落葉ついばむ鳩一羽
堀 秀堂
・さくさくと長き熊手の落葉掻き
関口 静安
・大柄な伯父の形見や古セーター
五井 夢
・身に沁むる手に落つる葉の赤ければ
◆ 私の一句
「秋嶺やサイン・コサイン・タンジェント」 俵木 陶光
最近、中学の時の恩師が99才白寿で亡くなった。その中学は戦時中に出来たもので平沼騏一郎が名誉校長であった。大岡昇平の「武蔵野夫人」にも出て来るホテルを寮とした全寮制であった。恩師は担任であり、数学を担当していた。
或る時呼ばれてある作業を手伝わされた。昇仙峡が載っている5万分の1の地図の或る橋を基点に線を引き、等高線などの数字から導き出される数字を先生が言うと数表から換算した数字を答える(函数表のサイン?コサイン?タンジェント?)。それらの数字を図表上に繋げると写真で撮ったような立体的な山の稜線が現れて来た。当時としては昇仙峡など行ったこともなかったので、このことが終わるとすっかり忘れ去ってしまった。
それから数十年経って職場のバス旅行で昇仙峡に行った時、あっと思った。これも既視感・デジャブの類かも知れない。
あの時の先生は測量の楽しさの手ほどきをし、先生と同じ道を歩ませようとしたのかも知れない。どうも不肖の生徒であったようだ。中学生の時貰った計算尺が唯一先生の形見となってしまった。
◆次回の句会は、1月12日(土)1時半より4時半
会場は、角川庭園・詩歌館です。
兼題は、正月全般・初鴉 です。
◆句会についてのお問い合わせ先: 片山 惠夫(俳句会事務局長)まで
TEL 090−8773−4881
◆文責・俳句同好会会長 俵木 敏光(陶光)