活動報告 - 俳句同好会カテゴリのエントリ
◆句会は原則として毎月第二土曜日の午後1時から3時40分まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。
◆毎回、その月の作品を紹介いたします。俵木陶光選。
・3月の作品の紹介
・3月の兼題は、「春全般」・当季雑詠で計3句です。
片山 朝陽
・托鉢の僧に触れゆく春の蝶
五井 夢
・春雨や虹がとび散る一号線
俵木 陶光
・白木蓮白鳳釈迦佛深大寺
長岡 帰山
・白木蓮の白より雲の湧き出しぬ
中邑 雅子
・兵馬俑の夢はるかなり黄砂ふる
堀 秀堂
・二百回春の句会や白木蓮
峯岸 まこと
・外国(とつくに) へ嫁ぐ子送る梅真白
芳村 翡翠
・外に出て掌(てのひら)に受く春の雨
小林 美絵子
・百歳(ももとせ) の白木蓮や青き空
坂井 百合子
・学舎(まなびや) に笑顔残して巣立ちゆく
山下 天真
・春雨のささやくごとき目覚めかな
村林 小枝子
・春重ね袴の孫は母となる
安西 円覚
・一心に瓦打つ雨桃の花
浦田 久
・草や木の新芽と出会う春日和
◆<私の俳句二題> 俵木 陶光
・龍天に昇る白木蓮は二百回 陶 光
中国の古事に「龍は万物生動する春の盛んな気が生ず云々」とあって春の季語になっている。白木蓮俳句会は平成11年に誕生し17年目に入り定例句会も200回の節目を迎えた。龍天に昇る気持が横溢している。
「日本人は昔から四季の移り変わりの折々に心に浮かぶ感慨を詩歌に託して来ました。人生を豊かにするために俳句を一緒にしませんか」と呼びかけ、俳句会が誕生した。月一回の定例句会の外に吟行俳句会で塚山公園、深大寺・神代植物園、国分寺、多摩キャンパス、多摩動物園、川越、横浜などへ出かけて行った。その間に合同句集『白木蓮』を6号まで発刊し、国会図書館にも納本している。会員の中にはNHK全国俳句大会に特選、大会大賞、朝日俳壇入選、個人句集数冊を発刊するなど活躍している。俳句ってどんなものだろうとゼロからスタートする人達も参加している。
多摩キャンパスには俳句会の記念樹として白木蓮を植樹し、今満開である。これからも、花も俳句も咲き続けて行くと信じている。
<学び舎にところを得たり白木蓮 市橋千鶴子(千翔)>
・早春の川一筋の速さかな 陶 光
春先の川の流れは元気を取り戻したように思える。これは玉川上水の井の頭公園側のほたる橋からの句である。ここは68年前の昭和23年、太宰治が入水(じゅすい)した辺からほぼ1キロ下ったところで深さは4メートル、滔々とした流れで落ちたら二度と岸に上がれない程であった。年間10人以上の身投げの記録が残っている。金田一京助さんのお嬢さんも25才の若さで亡くなられ、久我山の上水側の土手に供養碑がある。昭和40年、江戸時代からの水道としての役目も終えたため水も細々と流れ、久我山の旧NHKグランド側からは地下水道となって下ってゆく。それでもほたる橋から下を覗くと往時の名残か跳び越えられる川巾であるが4メートルの川底深く音をたてて流れている。
蛇足ながら、ほたる橋に因んで、久我山を流れる神田川と玉川上水では毎年6月初めの土・日に蛍祭をやっている。夜遅く子供達も帰った頃がいい。
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死なうかと囁かれしは蛍の夜 鈴木真砂女
緩やかに着てひとと逢ふほたるの夜 桂信子
じゃんけんに負けて蛍に生まれたの 池田澄子
人殺す我かも知らず飛ぶ蛍 前田普羅
おおかみに蛍が一つ付いていた 金子兜太
* 3月12日(土)定例句会の後、「白木蓮句会」200回記念祝賀会を吉祥寺・聘珍樓で行いました。11名の参加で大いに盛り上がり今後の会の発展を皆で誓い合いました。

◆次回の定例句会は、4月9日(土)午後1時〜3時40分
於 高井戸区民センター
兼題は「風光る」・当季雑詠で計3句です。
◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(円覚)まで
TEL 090-3145-2654
◆文責・俳句同好会会長 俵木 敏光(陶光)
◆句会は原則として毎月第二土曜日の午後1時から3時40分まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。
◆毎回、その月の作品を紹介いたします。俵木陶光選。
・2月の作品の紹介
・2月の兼題は、「日脚伸ぶ」・当季雑詠で計3句です。
岡村 一道
・土の中寝返る音や日脚伸ぶ
片山 朝陽
・塒(ねぐら)へと帰る水鳥日脚伸ぶ
五井 夢
・眼に沁むる足の生毛(うぶげ)や日脚伸ぶ
俵木 陶光
・ふくらんだ風の中より春匂ふ
中邑 雅子
・日脚伸ぶもういいかいの声のして
堀 秀堂
・日脚伸ぶ人影踏みつこ通学路
峯岸 まこと
・城跡の径のぬかるみ日脚伸ぶ
芳村 翡翠
・日脚伸ぶ書肆の中なるティールーム
小林 美絵子
・蕗の薹ぽとんぽとんはなんの音
坂井 百合子
・ベランダの西日華やか日脚伸ぶ
山下 天真
・さざ波の水鉢に立つ春の風
村林 小枝子
・花びらの川に一片日脚伸ぶ
安西 円覚
・料亭の長き靴箆(くつべら)日脚伸ぶ
浦田 久
・空青く裏の庭にも日脚伸ぶ
◆<私の好きな句> 安西 円覚
・青空や花は咲くことのみ思ひ 桂 信子 (平成8年作・81歳)
この花に謙虚さを感じます。擬人法で花=人間or自分に置き換えてみました。若い頃は将来どんな仕事に就くか選択枝が一杯有りすぎて絞れません。私に置き換えてみて、50歳を過ぎたあたりでようやく当時の仕事(広告営業)に「一所懸命」を自覚したものでした。ひと所に命を懸けるということです。この道しか俺の道はないのだと思ったら人間は強くなり成功への扉が開かれます。花は咲くことのみが生きるすべだと種の時から自分の生きる道を知っていたのだと思います。
・これ以上澄みなば水の傷つかむ 上田 五千石(昭和55年作・46歳)
五千石の自句自解は次の通りです・・・・「眼前の秋の水」の「澄み」を見ていると、意志あるごとくいよいよ澄んでいこうとするかに見えるのです。「これ以上澄んで」はいけない、と私は「水」に声をかけないではいられなかった。そう、ここで止めなければ「水」はそれが液体であることを超えて、硝子化し、自分自身を「傷つけて」しまうかもしれないーーーと私は恐れたのです。・・・・
この句も擬人的に、清廉潔白過ぎる人間は傷つきやすい、多少「水」に汚れがあっても良い、清濁併せのむ度量を持ちたいものだと解釈します。
五千石の、ナイーブな感情をものに託してストレートに詠った句だと思います。
現在、小生は「白木蓮句会」の他に「鷹」の句会に通っています。大体、どの句会も同じですが(白木蓮句会も)、兼題を短冊に書き、清記し選句し披講するという手順です。ただ「鷹」の句会は、席題として一時間以内に六句、その他兼題(持ち句)を二句提出です。系統は水原秋桜子。藤田湘子創設。現在、主宰は小川軽舟です。主宰は月1回ある中央例会(250人出席)に出て一句ごとワンポイントアドバイスをします。でも、どの俳句会でも、俳句の作り方の基本は同じです。白木蓮句会とも同じように、季語の説明をしない、日記・報告文にならない、景が浮かぶよう具体的に、感情を物で表す、常識的、陳腐な言葉を使わないその他等々です。その一定の基本レベルを習得すればどこの俳句結社に参加しようと同じ評価を受けると思います。ただそこから、キラリ光る秀れた句を作るためには、長く険しい山の頂上が遠くに待っているのだと思います。
「五七五の十七文字の宇宙」への旅を肩の力を抜きながら今後も楽しみたいと思っています。
・鶏頭や海の匂ひの葉書着く 円覚
◆次回の定例句会は、3月12日(土)午後1時〜3時40分
於 高井戸区民センター
兼題は「春一般」・当季雑詠で計3句です。
◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(円覚)まで
TEL 090−3145−2654
◆文責・俳句同好会会長 俵木 敏光(陶光)
◆句会は原則として毎月第二土曜日の午後1時から3時40分まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。
◆毎回、その月の作品を紹介いたします。俵木陶光選。
・1月の作品の紹介
・1月の兼題は、「去年今年」・当季雑詠で計3句です。
浦田 久
・快晴の天空仰ぎ初詣
岡村 一道
・初写真胴長短足縄文人
片山 朝陽
・柴犬のコマーシャル真似初笑ひ
五井 夢
・昨年(こぞ)に捨て今年ぞろめやババめくり
俵木 陶光
・水仙や波のきらめく城ケ島
中邑 雅子
・干支の字の太々とあり凧あがる
堀 秀堂
・休みなく救急センター去年今年
峯岸 まこと
・一湾を隔て岬に初日かな
芳村 翡翠
・歳時記を閉じて目を瞑ぶ去年今年」
小林 美絵子
・さようならころんでおきて去年今年
坂井 百合子
・帯借りに母を訪ねし去年今年
山下 天真
・外国語飛び交ふ浅草去年今年
村林 小枝子
・去年今年鐘は遠くの闇に消へ
安西 円覚
・駅の長きエスカレーター去年今年
◆<私の一句>
「箱根駅伝朝日の中へ疾走す」 俵木 陶光
十月の予選会から勝ち上がった中大の箱根駅伝第一走者はさっそうとした鉢巻姿で胸に赤いCの字が眩しかった。久々にカメラにとらえられたからである。今年はいいかなと思ったがやはり実力通り往路は20チーム中16位であった。翌日は一斉スタートから始まって更に繰上スタート。当然来年も予選会を待たねばならない。
<箱根駅伝無念残念無念なり 陶光>
近衛文麿氏の次男通隆氏の奥方節子さんの句集『糸ざくら』の中に「箱根駅伝見ていて炬燵ぬけられず」という句がある。
戦前3度も総理大臣となった公爵近衛文麿氏の私邸「荻外荘(てきがいそう)」が昭和12年より角川詩歌館の近くにあり、多くの政治家等の集まるところとなっていた。ところが昭和20年敗戦となり、マッカーサーから巣鴨プリズンへの出頭が命ぜられるや、天皇に類が及ぶことを恐れ、服毒自殺を遂げた。
『われ巣鴨に出頭せずー近衛文麿と天皇』(工藤美代子,H18)で著者はあと書でこう述べている。
「近衛は貴族の生れらしく誇りを捨てずに潔く全責任だけを負って、それが運命であるかのように天皇の御楯として命を絶った。近衛文麿という日本人がいたことを誇りに思う」と。
長男文隆氏は戦後ソ連に抑留され(昭和31年没)、次男通隆氏が節子夫人と住んでおられた。通隆氏も数年前亡くなられ、夫人は生まれ育った下町へ移られた。無人となった荻外荘は杉並区が歴史的建物として購入した。一昨年(H26.10)、節子さんを招いて荻外荘での思い出話を聞く会があった。偶然長岡帰山さんとも一しょだった。近衛家は元貴族の流れを汲む名家であるが、節子夫人は庶民感覚でざっくばらんの飾り気のない方で好感が持てた。俳句にもその感じが見てとれる。『糸ざくら』から数句紹介させて頂く。
・洒落気のなくなりし夫パリー祭 近衛節子
・とっくりのセーターを着て夫老いず 〃
・母の来て四温のうちに帰りゆく 〃
・女盛りを夏帯のしめつける 〃
・母看取るための往復法師蝉 〃
◆次回の定例句会は、2月13日(土)午後1時〜3時40分
於 高井戸区民センター
兼題は「日脚伸ぶ」・当季雑詠で計3句です。
◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(円覚)まで
TEL 090−3145−2654
◆文責・俳句同好会会長 俵木 敏光(陶光)
◆句会は原則として毎月第二土曜日の午後1時から3時40分まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。
◆毎回、その月の作品を紹介いたします。俵木陶光選。
・12月の作品の紹介
・12月の兼題は、「短日・暮早し」・当季雑詠で計3句です。
安西 円覚
・枯草や髭剃りの刃を取り替へし
浦田 久
・短日や今宵の月の冴えわたり
岡村 一道
・ぐいと飲む精力剤や三の酉
片山 朝陽
・短日や喪服に白き髪二本
五井 夢
・短日や指から零る光粒子
俵木 陶光
・暮早し鳥を迎へし神の森
中邑 雅子
・焼き上がるパン屋の時刻暮早し
堀 秀堂
・短日の銀座点灯街一杯
峯岸 まこと
・かがり火に翁鈴振る三の酉
芳村 翡翠
・海鳴りのひびく坂道暮早し
小林 美絵子
・助手席に本とパン乗せ十二月
坂井 百合子
・追ひかけて来る咳に急(せ)く駅の道
山下 天真
・暮早し刹那の入日ビルの上
村林 小枝子
・長電話ようやく終り暮早し
◆<吟行記 荻窪八幡〜原っぱ公園〜観泉寺>
俵木 陶光
杉並会館に集合し、向いの荻窪八幡神社からスタートした。。
この神社は890年頃の創建で、前九年の役(えき)の際には源頼義がここに宿陣した。また応仁の乱が終わる頃太田道灌は石神井城の豊島泰経を討つべくこの神社に槇(まき)一株を供え戦に勝利した。その槇は今御神木として境内に立っている。参道には猫が畏って、参詣者に挨拶しているようであった。
・たかだかと伸びゆく槇や冬の雲 陶光
・境内を黄色に染めて銀杏散る 秀堂
・八幡の参道飾る落葉かな 天真
・千両の密と実をつけ八幡宮 一道
はす向いの警察署の道路側にはパトカーに因んでピーポーハウスと名札のある大きな鳥籠があって文鳥と背黄青インコが鳴いていた。
・婦人警官守衛に立つや散る黄葉 一道
消防署の先を折れた辺りで美絵子さんと合流した。まだ松葉杖が一本とれていなかった。
・松葉杖の美絵子さん待つ落葉道 陶光
・足裏に北風かよふ松葉杖 美絵子
・冬の日やコツンと響く松葉杖 〃
・銀杏落葉真っ赤な車包みけり 円覚
欅の冬木立が続くプロムナード並木を抜けると広々とした原っぱ公園に出る。
・解き放たれ園児走るや枯野原 円覚
・枯芝のはらっぱ公園子らの声 秀堂
この原っぱ公園やマンション群一帯は、昭和に入ると中島飛行機製作所の東京工場が建設され「ゼロ戦」のエンジン等を製作していた。現在この一角には「ロケット発祥の地」の記念碑も置かれている。
この広場の先には大きな荻窪病院があり中央大学杉並高校、観泉寺へと続いている。
今川義元は凡そ450年程前織田信長に討たれたが、その子が徳川家康に仕え、後、奥高家となり井草などを領することになった。家臣を八町(今の八丁など)の役宅に常駐させ田畑の開発に力を注いていた。それとともに観泉寺が菩提所となった。ここのしだれ桜は杉並百景の一つともなっている。
・「不許葷酒入山門」(くんしゅ山門に入るを許さず)紅葉散る 陶光
・観泉寺冬芽粒々牡丹園 〃
・観泉寺しだれ桜の葉も落ちて 小枝子
・思ひ切り黄葉を散らし冬を待つ 陶光
・常磐木に花のごとくや散紅葉 一道
・名も知らぬ黄花静かに冬の寺 〃
・十二月寺苑の工事急ピッチ 美絵子
観泉寺から程近いところに都立農芸高校があり厩舎には2頭の馬がいる。生徒とは顔なじみだがわれわれとは金網越しに初対面である。馬も「はて、この人達は何者?」と言っているようであった。
・馬小屋に人を見る馬冬の午後 天真
・街道に怪しき一団冬の雲 一道
帰途、クイーンズ伊勢丹に立ち寄り昼食を用意し句会場のプロムナード集会室に着いた。句会が終り暮も早まった会場を後に荻窪駅前の一軒に立ち寄り反省会となった。
◆次回の定例句会は、1月9日(土)午後1時〜3時40分
於 高井戸区民センター
兼題は「去年今年」・当季雑詠で計3句です。
◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(円覚)まで
TEL 090−3145−2654
◆文責・俳句同好会会長 俵木 敏光(陶光)
◆句会は原則として毎月第二土曜日の午後1時から3時40分まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。
◆毎回、その月の作品を紹介いたします。俵木陶光選。
・11月の作品の紹介
・11月の兼題は、「神の旅・神の留守など」・当季雑詠で計3句です。
村林 小枝子
・紅葉に誘(いざな)はれての神の旅
安西 円覚
・古池やぬつと顔出す冬の鯉
浦田 久
・梟の森の暮色や神の留守
岡村 一道
・富士山の化粧直すや神の留守
片山 朝陽
・御神籤に大吉多し神の留守
五井 夢
・六法の壁高くして神の留守
俵木 陶光
・牧水の休む茶店や神の旅
中邑 雅子
・山並をひとつ飛びして神の旅
堀 秀堂
・匂ひして大根煮つけ突いてみる
峯岸 まこと
・薄墨の挨拶状や神の留守
芳村 翡翠
・巫女三人笑ひ声たて神の留守
小林 美絵子
・ポケツトに焼栗のある薄曇り
坂井 百合子
・よき縁(えにし) 持ち帰りませ神の留守
山下 天真
・大銀杏黄葉(もみじ) にすべてのまれけり
◆<私の一句>
「麦秋や慰霊の社は深みどり」 村林 小枝子
杉並白木蓮俳句会に入会して一年余り、いつも傍にメモを置いて毎月の兼題を静かに考える日々が多くなりました。自然現象や日常の出来事などに気持ちを集中させることの大切さを実感しています。
私は昭和5年生まれで、小学1年生の七夕の日に日中戦争、5年生の12月に太平洋戦争がはじまり旧制高等女学校3年生で終戦を迎えました。その後6.3.3制が制定され高等学校3年生に進み初の高校卒業生になりました(都立駒場高校)。その後、編物講師となり、長い間指導をして来ました。
思えば昭和20年敗戦の惨禍からようやく立ち上がり、爾来日本は70年平和を刻み続けて参りました。父が海軍将校でしたため大正12年生まれの兄も同じ道に進み江田島の海軍兵学校に入校、昭和17年の卒業の時は太平洋戦争の真っ只中でした。憧れの遠洋航海は勿論なく直ちに戦艦武蔵に乗り込みましたが、その後武蔵は巨大過ぎて動きが悪いと同型の重巡筑摩に移り昭和19年10月レイテ沖の激戦中、艦と共にフィリピン沖に沈みました。高射砲の指揮をとり最後まで戦ったと聞いております。
海軍が好きで心身を鍛え勉学に励み海兵入学から卒業まで首席を通し、卒業式には御賜の短剣の御下賜がありました。田結君はガリ勉でなくおおらかで、自由と平和を愛し友人や後輩には自分の特性を生かした道に進んでほしいと唱えていたと聞いてます。
兄の戦死によって、大切な宝を失った両親の深い悲しみは昭和51年52年と相次いで他界するまで癒えることなく私も今も尚その気持ちに寄り添って暮らしております。
長い平和を築いた日本で息子達も還暦を迎える歳になりましたが、あの悲しみが再び起こらぬよう賢明な外交と強靭な自衛力で日本の国が世界の中で心地よい存在であることを心から願っています。
◆次回の定例句会は、12月12日(土)午後1時〜3時40分
於 久我山会館
兼題は「短日、暮早し」・当季雑詠で計3句です。
◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(円覚)まで
TEL 090−3145−2654
◆文責・俳句同好会会長 俵木 敏光(陶光)