活動報告 - 俳句同好会 (白木蓮俳句会) (H.29.10.14) No.92
◆句会は原則として毎月第2土曜日の午後1時から3時40分まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。
◆毎回、その月の作品を紹介いたします。俵木陶光選。
・10月の作品の紹介
・10月の兼題は、「月」・「当季雑詠」で計3句です。
<兼題「月」について> 俵木 陶光
江戸期以前、月は暦として大きな役割を果たして来た。毎月の初めが新月、15 日目が十五夜、月の終わりが晦日(みそか)月の形で日付けが分かった。しかしこれでは早く月日が回ってしまうので5年に2回程度2月に閏月(うるうづき)を置いて調整を図った(二月の次に閏二月)。
月はまた、神話や文芸などに夜の物語りとして心を託して来た。月早し梢は雨を持ちながら(芭蕉)、月天心貧しき町を通りけり(蕪村)、月光にいのち死にゆくひとと寝る(橋本多佳子)、月の人のひとりとならむ車椅子(角川源義)など数多くの月に心を動かされて来た。
俵木 陶光
・月明(げつめい)の道一筋を歩みゆく
岡村 一道
・ばうばうと銅鑼打つ船や月の海
芳村 翡翠
・闇破り舟下りゆく月の川
長岡 帰山
・帰り来て身の月光をふりこぼす
片山 朝陽
・花野行く風に色あり音のあり
安西 円覚
・啄木を朗読するや宵月夜
峯岸 まこと
・百日紅放蕩作家の旧居かな
中邑 雅子
・月白や山脈(やまなみ)の形(かた)[あらはにす
小林 美絵子
・月光や急降下するエレベーター
坂井 百合子
・こんなにも近くにありし金木犀
浦田 久
・明月や浜辺に寄せる波の音
堀 秀堂
・アマゾンの月の江白き飛行艇
山下 天真
・山の端に吾子の声充つ野紺菊
五井 夢
・雨雲に欠けし満月手にこぼる
関口 静安
・和菓子屋の今日の月もて廃業す
村林 小枝子
・退院の家にて名月見て居りし
◆<私の一句>
栗剥きて栗むきむきて力尽き 坂井百合子
ここ2,3年、9月も末になるとなんだかそわそわしてしまう。
栗の季節だ・・。スーパーの売り場ですばやく眼を走らせる。
ああ栗ご飯食べたい・・。栗は案外早く店頭から姿を消す。
昔のお母さんたちは大したものだ。栗剥きというあのつらい作業をものともせず、栗ご飯を何回も食卓に出してくれた。子供の頃は考えてもみなかったが、今になって栗ご飯のありがたさに気付いたのである。
ここで、栗について少し。栗は縄文時代の主食の一つであった。保存が容易で、農耕が行われるようになってからも栗は非常食であった。栗はカロリーが高くて短時間にエネルギーが補給でき、ビタミン、ミネラル、食物繊維にも富み美肌効果もあるという。戦国時代には兵糧として用いられていた。当時の栗は、柴栗という小粒のものだった。昔の子供のおやつでもあった。
幼稚園の栗拾いの時、大粒でぴかぴかの栗をいがから取り出した時の嬉しさを思い出す。
あくせくと起さば殻や栗のいが 小林一茶
拾ひたる日向の栗のあたたかし 星野立子
少し昔まで栗はとても身近な存在だったのだろう。私の住む調布市にも数十年前まで栗林がたくさんあったらしい。毎年9月末、府中の大國魂神社で「くり祭り」が催されている。武蔵野の大地で上質な栗が採れることから、徳川家に栗を献納していたようだ。
栗拾ひねんねんころり言ひながら 小林一茶
窓にゐて少しもらひぬ拾ひ栗 長谷川かな女
現在栗は値段も高くなり、希少で贅沢な食べ物になってしまった。
もてなしやランプの下に栗むきて 星野立子
栗飯を炊けばこころは満ち足らふ 山口誓子
とはいえ、栗ご飯は相手をもてなし、皆の心がほっこり温まるごちそうであることは昔も今も変わらない。
よし栗ご飯を作ろう!!。
◆次回の定例句会は、11月4日(土)、吟行と合わせて行います。
<子規庵&寛永寺吟行>
集合日時:11月4日(土)午前10時
集合場所:JR鶯谷駅北口改札口
句会場:東京芸術劇場小会議室3(JR池袋駅西口)
午後1時〜5時
懇親会場:居酒屋「いろはにほへと」
午後5時15分〜7時15分
提出句:3〜4句
◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(円覚)まで
TEL 090-3145-2654
◆文責: 俵木 敏光(陶光)