活動報告 - 俳句同好会 (白木蓮俳句会) (H.29.4.8) No.86
◆句会は原則として毎月第2土曜日の午後1時から3時40分まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。今回も新しい方の投句がありました。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。
◆毎回、その月の作品を紹介いたします。俵木陶光選。
・4月の作品の紹介
・4月の兼題は、「葉桜」・当季雑詠で計3句です。
俵木 陶光
・山村の桜まぶしき天気雨
岡村 一道
・花筏乱して鯉の輪舞かな
芳村 翡翠
・葉桜や遠く戦火の国もあり
片山 朝陽
・ヘプバーン映画の誘ひ春ショール
安西 円覚
・囀りや結び直せし靴の紐
峯岸 まこと
・せせらぎの澱(よどみ)たゆたふ花の塵
長岡 帰山
・葉桜や色はにほへど散りぬるを
中邑 雅子
・葉桜や蒼ざめし影濃くなりて
小林 美絵子
・葉を残す少年のよう桜餅
坂井 百合子
・透き通る葉桜のころ君来たる
五井 夢
・地には蕊葉桜賑わい風笑う
浦田 久
・葉桜を駆け抜けてゆく運動部
堀 秀堂
・葉桜を映しうつして神田川
山下 天真
・駅を出て家路を急ぐ寒戻り
◆<私の一句>
花々々花に抱かれて吟醸酒 安西 円覚
この句は、先日、友人達と小金井公園に行った時出来た句です。シートを地面に引いて座ると頭上10センチのところに嫌になるぐらい多くの桜の花びらがありました。右を向いても左を見ても上を向いても花びらだらけの中の、酒呑みには至福の時でした。
古今の俳人で「酒と桜を詠んだ句」は多いです。勝手に句を探してみました。
「花にうき世我が酒白く飯黒し」(世間は花に浮かれてる春だが、貧しい自分にはむしろ心憂い世の中だ。飲む酒は濁り酒、飯は玄米飯という暮らしでは。)芭蕉
「上下(かみしも)の酔倒あり花の陰」(町民も、上下を着た武士も日頃の憂さを忘れ、美しい花に酔い、酒に酔い痴れていることよ。)一茶 また、酒好きで知れてる漂泊の俳人井上井月は、
「翌日(あす)しらぬ身の楽しみや花に酒」「寝て起きて又のむ酒や花心」と詠っています。井月に影響を受けた山頭火は、
「酔ひざめの花がこぼれるこぼれる」と詠う。その他、
「酒に女御意に召さずば花に月」漱石、「吾は寝ん君高楼の花に酔え」子規、
「宴まだはじまらずして花疲れ」虚子等々
良寛は和歌で、
「さけさけと花にあるじをまかせられ今日もさけさけ明日もさけさけ」と詠っています。
また、「酒と桜を詠った句」以外の「酒」の単独の句となるとものすごい数があります。俳人は酒が好きなのです。探してみました。、
夏痩やほのぼの酔へる指の先 万太郎
庵主の酔うて仮寝や春の宵 鬼城
白酒やなでてぬぐひし注零(つぎこぼ)し 青畝
酒買ひに韋駄天走り時雨沙弥 芽舎
美酒あふれ蟹は牡丹の如くなり 水巴
冷酒に澄む二三字や猪口の底 草城
鶏頭に隠るる如し昼の酒 波郷
そら豆と酒一合と勇気がある 湘子
冷酒や蟹はなけれど烏賊裂かん 源義
熱燗や討入りおりた者同士 展宏
羅(うすもの)や心病みいて酒の日々 真砂女
等々。「酒」は俳句を作る上で強力な助け舟となります。ところで、秋桜子は酒が飲めないのに、「酒」の句を作っています。
喜雨亭に佳き酒にほふ年の暮れ 秋桜子
鰭酒も春待つ月も琥珀色 〃
以上、有名俳人の酒に関係した俳句の一例です。小生、単なる酒飲みに終わらないで「酒」の名句を目指して精進したいと思います。
◆次回の定例句会は、5月13日(土)午後1時〜3時40分
於 久我山会館
兼題は「初夏」・当季雑詠で計3句です。
◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(円覚)まで
TEL 090-3145-2654
◆文責・俳句同好会会長 俵木 敏光(陶光)