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活動報告 - 俳句同好会 (白木蓮俳句会) (H.28.6.11)  No.76

俳句同好会 (白木蓮俳句会) (H.28.6.11)  No.76

カテゴリ : 
俳句同好会
執筆 : 
m-anzai 2016-6-20 15:50

◆句会は原則として毎月第2土曜日の午後1時から3時40分まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。今回も新しい方の投句がありました。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。


◆毎回、その月の作品を紹介いたします。俵木陶光選。
    

・6月の作品の紹介
・6月の兼題は、「紫陽花」・当季雑詠で計4句です。




長岡 帰山

・行水の牛の貫禄うごかざる


中邑 雅子
・ここよりはあぢさゐ街道雨もよひ

堀 秀堂 
・紫陽花の小雨となりしホームかな

峯岸 まこと 
・箱根路のスイッチバックや濃紫陽花

村林 小枝子 
・くちなしのきわ立つ白さ雨上り

山下 天真
 ・賑わいを離れて路地の額紫陽花

芳村 翡翠 
・上州の限界集落濃紫陽花

佐々木 君代
 
・顔中をくちばしにして燕の子

関口 静安
大清水木道(もくどう)歩き水芭蕉

安西 円覚
・手花火に一年ぶりの燐寸かな

浦田 久
 
・伊豆下田山を彩る七変化

岡村 一道
 
・泣き虫の児に還るなり目高飼ふ


片山 朝陽
 
・黒揚羽三段跳びに消え去りぬ


五井 夢

・紫陽花や男波
(おなみ)女波のアンブレラ

小林 美絵子
 
・衣替え風の匂いの変わる朝

坂井 百合子
・ひっそりと古来のままに額の花


俵木 陶光
 
・雨を呼ぶ投込寺の濃紫陽花                                     




◆<私の一句>
  上州の限界集落濃紫陽花
      芳村 翡翠 

  
 裏木戸の片隅にいつも咲く紫陽花は、昨年思い切った枝の剪定を行ったせいか花付きがよく今年も大輪の花を咲かせてくれました。梅雨の雨を含んで重々しく花を揺らせている様は見事です。
 ところで、花名のアジサイの語源は「藍色が集まったもの」を意味する「あづさい(集真藍)」からきたものだそうです。江戸時代に長崎の出島に滞在して医療と博物研究に従事したシーボルトは、愛する「お滝さん」にちなみ「オタクサ」という名をアジサイにつけました。花言葉の「移り気」はアジサイの花の色が開花後に変化することからきています。
 さて私の句ですが、「上州」を上五にもってきたのは、上州といわれていた土地にあった集落共同体の崩壊を描きたかったからです。過疎化が進み、打ち捨てられ、荒廃した空き家だけが残っている、いわゆる「限界集落」の情景を詠ったものです。ひとが去ってしまった空虚な集落の跡に、紫陽花の華麗な花だけが咲き残っている。
 社会と自然の係わりの変転を表現しました。唐の詩人が詠ったように、「年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず」毎年毎年、花は変わることなく咲くが、人の世は変わってゆく。
 「上州の限界集落」と妖艶な「紫陽花」との対比はいかがでしたか。最近、俳句の世界にも社会的な事象を詠んだ句が多く見受けられます。マスコミの伝える情報が、我々の日常生活に、遥かかなたで起こった事象を身近にひきよせます。
 従来の「花鳥諷詠」という自然そのものを詠むだけの句ではなく人と事象とのかかわりを詠む句が見られるようになったわけです。
最近の朝日俳壇で拾ってみても、こんな句がありました。

・シナリオのなき大地震牡丹散る
・道義なき話きき飽き五月尽
・薫風の永遠にぞ在れや吾は九条
・農捨し兄に最後の麦の秋    などなど



◆次回の定例句会は、7月9日(土)午後1時〜3時40分
               於 高井戸地域区民センター   
 兼題は「南風(みなみ・なんぷう・みなみかぜ)」・当季雑詠で計4句(欠席投句者は3句)です。

◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(円覚)まで
                 TEL 090-3145-2654

◆文責・俳句同好会会長 俵木 敏光(陶光)

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