活動報告 - 俳句同好会 (白木蓮俳句会) (H.28.2.13) No.72
◆句会は原則として毎月第二土曜日の午後1時から3時40分まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。
◆毎回、その月の作品を紹介いたします。俵木陶光選。
・2月の作品の紹介
・2月の兼題は、「日脚伸ぶ」・当季雑詠で計3句です。
岡村 一道
・土の中寝返る音や日脚伸ぶ
片山 朝陽
・塒(ねぐら)へと帰る水鳥日脚伸ぶ
五井 夢
・眼に沁むる足の生毛(うぶげ)や日脚伸ぶ
俵木 陶光
・ふくらんだ風の中より春匂ふ
中邑 雅子
・日脚伸ぶもういいかいの声のして
堀 秀堂
・日脚伸ぶ人影踏みつこ通学路
峯岸 まこと
・城跡の径のぬかるみ日脚伸ぶ
芳村 翡翠
・日脚伸ぶ書肆の中なるティールーム
小林 美絵子
・蕗の薹ぽとんぽとんはなんの音
坂井 百合子
・ベランダの西日華やか日脚伸ぶ
山下 天真
・さざ波の水鉢に立つ春の風
村林 小枝子
・花びらの川に一片日脚伸ぶ
安西 円覚
・料亭の長き靴箆(くつべら)日脚伸ぶ
浦田 久
・空青く裏の庭にも日脚伸ぶ
◆<私の好きな句> 安西 円覚
・青空や花は咲くことのみ思ひ 桂 信子 (平成8年作・81歳)
この花に謙虚さを感じます。擬人法で花=人間or自分に置き換えてみました。若い頃は将来どんな仕事に就くか選択枝が一杯有りすぎて絞れません。私に置き換えてみて、50歳を過ぎたあたりでようやく当時の仕事(広告営業)に「一所懸命」を自覚したものでした。ひと所に命を懸けるということです。この道しか俺の道はないのだと思ったら人間は強くなり成功への扉が開かれます。花は咲くことのみが生きるすべだと種の時から自分の生きる道を知っていたのだと思います。
・これ以上澄みなば水の傷つかむ 上田 五千石(昭和55年作・46歳)
五千石の自句自解は次の通りです・・・・「眼前の秋の水」の「澄み」を見ていると、意志あるごとくいよいよ澄んでいこうとするかに見えるのです。「これ以上澄んで」はいけない、と私は「水」に声をかけないではいられなかった。そう、ここで止めなければ「水」はそれが液体であることを超えて、硝子化し、自分自身を「傷つけて」しまうかもしれないーーーと私は恐れたのです。・・・・
この句も擬人的に、清廉潔白過ぎる人間は傷つきやすい、多少「水」に汚れがあっても良い、清濁併せのむ度量を持ちたいものだと解釈します。
五千石の、ナイーブな感情をものに託してストレートに詠った句だと思います。
現在、小生は「白木蓮句会」の他に「鷹」の句会に通っています。大体、どの句会も同じですが(白木蓮句会も)、兼題を短冊に書き、清記し選句し披講するという手順です。ただ「鷹」の句会は、席題として一時間以内に六句、その他兼題(持ち句)を二句提出です。系統は水原秋桜子。藤田湘子創設。現在、主宰は小川軽舟です。主宰は月1回ある中央例会(250人出席)に出て一句ごとワンポイントアドバイスをします。でも、どの俳句会でも、俳句の作り方の基本は同じです。白木蓮句会とも同じように、季語の説明をしない、日記・報告文にならない、景が浮かぶよう具体的に、感情を物で表す、常識的、陳腐な言葉を使わないその他等々です。その一定の基本レベルを習得すればどこの俳句結社に参加しようと同じ評価を受けると思います。ただそこから、キラリ光る秀れた句を作るためには、長く険しい山の頂上が遠くに待っているのだと思います。
「五七五の十七文字の宇宙」への旅を肩の力を抜きながら今後も楽しみたいと思っています。
・鶏頭や海の匂ひの葉書着く 円覚
◆次回の定例句会は、3月12日(土)午後1時〜3時40分
於 高井戸区民センター
兼題は「春一般」・当季雑詠で計3句です。
◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(円覚)まで
TEL 090−3145−2654
◆文責・俳句同好会会長 俵木 敏光(陶光)