活動報告 - 俳句同好会 (白木蓮俳句会) (H.27.10.10)  No.68

俳句同好会 (白木蓮俳句会) (H.27.10.10)  No.68

カテゴリ : 
俳句同好会
執筆 : 
m-anzai 2015-10-23 20:52

◆句会は原則として毎月第二土曜日の午後1時から3時40分まで、主として久我山会館・高井戸地域区民センター等で開催しております。(出席者は10名程度)一度ふらっと覗いてみて下さい。その上で、ぜひ仲間になって下さい。
句会が終わると駅前の蕎麦屋でちょこっとやったりもします。


◆毎回、その月の作品を紹介いたします。俵木陶光選。
    

・10月の作品の紹介
・10月の兼題は、「秋の昼」・「当季雑詠」で計3句です。




山下 天真
 ・窓際の光と影や秋の昼

村林 小枝子 
・獺祭忌絵筆も清(すが)し糸瓜(へちま)かな

安西 円覚 
・看護婦に秘かに頼む新酒かな

浦田 久 
・二百二十日豪雨決壊生地獄

岡村 一道
 
・揺り籠となりし電車や秋の昼


片山 朝陽
 
・秋麗
(うらら)銀座の香り行き交へり

五井 夢
・独り秋の昼を欺く窓灯


俵木 陶光
 
・法師蝉鳴くな責めるな生きてをる

中邑 雅子
 ・風新た雲整ひて今朝の秋

堀 秀堂 
・高麗神社開運祈る秋日和

峯岸 まこと 
・聖堂のステンドグラス秋の声

芳村 翡翠 
・巫女二人差向ひゐて秋の昼

小林 美絵子
 
・信濃路は霧を迎へて別れ風

坂井 百合子 
・遠くより球児の声や秋の昼






◆<私の一句>            

「太宰治の碧雲荘や秋の風」
    峯岸 まこと

  掲句は、杉並区天沼3丁目の「碧雲荘」を詠んだものです。この建物は、昭和初期に下宿として建てられました。作家の太宰治は、昭和11年11月15日から昭和12年6月20日までの約7か月間を2階の8畳間で暮らしました。この部屋で「人間失格」の原型となった「HUMAN  LOST]を執筆しました。この下宿から見える富士山については次のように描写しています。
 『東京の、アパートの窓から見る富士は、くるしい。冬には、はっきり、よく見える。小さい、まっ白い三角が、地平線にちょこんと出ていて、それが富士だ。なんのことはない、クリスマスの飾り菓子である。』(富嶽百景・岩波文庫から)   太宰治は、青森県から上京後、師と仰ぐ井伏鱒二の住む杉並区内に転居し、井伏邸を中心にして数か所を転々としていました。現在、太宰の生活の痕跡が残り、現存する建物は、斜陽館(生家、五所川原市)と藤田家(旧制弘前高校生の時の下宿、弘前市)、天下茶屋(執筆で滞在、河口湖町)とこの「碧雲荘」です。太宰治の「走れメロス」は、全国の中学生が使っているすべての国語教科書に掲載されています。まさに杉並区が全国に誇れる文化遺産です。建物も破風を備えステンドグラスを配し、軒裏を網代にするなど和洋折衷の様式美も見られ文化財的な価値があります。
 この碧雲荘の敷地は、特別養護老人ホームの建設用地として既に杉並区が取得しています。来春までに、更地にして所有者から引き渡すことになっています。
 この状況の中で、「荻窪の歴史文化を育てる会」(会長・岩下武彦中央大学教授)が天沼地域の方々の理解をえながら保存や活用を杉並区に要請しています。署名には、約4千人の方が協力してくださいました。また、9月には、杉並公会堂に又吉直樹氏等を招き「太宰サミット」を開き、千人を超える来場者をえました。しかし、現状は「厳しい」の一言で、その状況を詠んだ句です。                                                                         


 

◆次回の定例句会は、11月14日(土)午後1時〜3時40分
                 於 高井戸地域区民センター    
 兼題は「神の留守・神の旅など」・「当季雑詠」で計3句です。

◆句会についてのお問い合わせ先: 安西 光昭(円覚)まで
                 TEL 090−3145−2654

◆文責・俳句同好会会長 俵木 敏光(陶光)

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